2015年5月13日水曜日

1985年のワイン・スキャンダル

Kino_Sanが読者になっているオーストリア通で知られる「オペレッタにはまっている男」=Feriさんのブログオーストリアこぼれ話でオーストリアワイン・スキャンダルの事が取り上げられ、Feriさんが怒るようなコメントを3つも書いてしまいました。

Kino_San、やり過ぎ!!

なのですが、オーストリアワインを知る者、その良さを広めようとする者にとってこのワイン・スキャンダルは避けては通れない道ですし、その事を正確に捉えたうえでしか次の一歩を踏み出さない大きな障害でもあります。
あやふやに書かれ、誤解が蔓延するなら、自分が悪者になってでも正確な事実を知ってもらいたい、と言うのがKino_Sanの本音です。

どうもFeriさんは、1985年にはKino_Sanはワイン漬けになっていたように思われているようですが、その当時は高校生、大学の化学系の学科を目指して猛勉強中でした。
オーストリアワインが好きというより、化学の勉強をしていたので、このワイン・スキャンダルの事を良く覚えているのです。

ワイン・スキャンダルの事はホイリゲへ行こう!でも詳しく書いています。
ジエチレングリコール事件

今更ですが、不思議だったのはドイツワインからもジエチレングリコールが検出され、イタリアワインからはメタノールが検出され死者まで出たのに、両者ともその後も日本への輸入は続き、オーストリアワインだけが姿を消した事です。
普通に考えれば、死者の出たイタリアワインが一番非難されそうなのですが、当時もなんとなく霞んでいたような感じがします。
ドイツワインはマスコミを上手く使い、悪いのはオーストリアから輸入した原酒というイメージを煽りました。ただこの件も後で知った事ですが、オーストリアの原酒を使っていないドイツワインからもジエチレングリコールは検出されていたようです。

当時のニュースの題名「毒入りワイン」もかなり過激と言うか、オーストリアの悪者感を煽っていたような気がします。
イメージなのですが、「毒入り」となるとワインに青酸カリばりの猛毒が混入されているような感じを受けます。現実的には「メタノール」は人が死にますから「毒入りワイン」と言われても、ある意味違和感がないのですが、ジエチレングリコールは決して体に良い物でも無害の物でもありませんが、人が死ぬ程の毒性はないので(飲む量にもよりますが)、「毒入り」は大げさな感じがするのです。
入れてはいけない物を入れるのですから、五十歩百歩である事はいなめません。
が、イタリアが非難されなかった理由が曖昧で、オーストリア贔屓には悔しくもあります。

この事件で一番損をしたのはオーストリアですが、一番偉かったのもオーストリアです。
それは世界で一番厳しいワイン法という形で表されました。
ドイツやフランスでさえ大量に加糖していた時代に加糖さえ許さないワイン法は後にEUのワイン方の元にもなりました。

この辺りも変な話があり、「オーストリアのワイン法はドイツのワイン法に学び改正された」なんて嘘みたいな間違いを言うワイン関係者がいることです。
事実はまったく逆です。

事実より国力というか、国の認知度や信頼度が人やマスコミにも大きな影響を与えると思わせられる事件だったとも言えます。
あまり目立たない、怪しい感じのオーストリアよりは、ドイツを信頼するって感じでしょうか。

皆様の認知度はとにかく、ワイン・スキャンダルはその後のワイン生産者達の意識を変え、信頼出来るワイン生産への道を開いたことは間違いありません。
その踏み台になった感じのオーストリアは、世界で最も信頼出来るワイン生産国になりました。
なのでKino_Sanも一生懸命宣伝して、一生懸命売ってます。

それにしてもワインにメタノールを入れるなんて、誰かを毒殺しようとした理由ではないですよね?

やれ、やれ、



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